深部静脈血栓症

深部静脈血栓症とは

一般的な採血や点滴に使う血管は、皮膚のすぐ下にある表在静脈です。

これよりも深いところに流れている静脈が深部静脈で、この深部静脈に血栓ができる病気を深部静脈血栓症と言います。

深部静脈血栓症は何が怖いのか

何らかの原因で深部静脈に血栓ができると、血流にのって血栓が移動することがあります。

静脈に流れている血液は心臓を経て最終的に肺動脈に流れ着きます。

このため、静脈血栓が移動して肺動脈を詰まらせてしまうと突然酸素不足に陥ってしまう肺塞栓症を発症し、最悪の場合死に至ります。

エコノミークラス症候群がこの病態です。狭い飛行機の中で長時間じっとしていることで、足の静脈の血液がよどみ、血栓ができてしまいます。

立ち上がった時に血栓が移動し、肺の動脈に血栓が詰まることで突然状態が悪くなるのです。

もちろん、同じ状況であっても全員に血栓ができるわけではありません。

肥満、妊娠中、旅行や災害などで長時間座るなど血流が滞りやすい人、喫煙者や血管自体に炎症を起こす病気があるなどの血管に障害がある人、がんを患っている人やピルを飲んでいる人、ネフローゼ症候群など血液が固まりやすい人が素因として挙げられます。

深部静脈血栓症の症状、検査

太い静脈が血栓により詰まることで血液の戻りが悪くなり、足が痛みを伴ってむくむことがあります。

この場合、太い静脈に血栓があるかどうかは下肢静脈エコーで確認できます。

また、肺塞栓症の併発により心臓に負担がかかっていないか心エコーで確認します。

その他にも血液検査で血栓ができやすい原因疾患がないかどうか、血栓ができたときに上昇するDダイマーの上昇がないかなどを調べます。

肺塞栓症を疑うような状態であれば命に関わることもあるため、病院で造影CT検査などによる診断の上、早期に治療が必要となります。

ポイント

  • 深部静脈血栓症から肺塞栓症を発症すると命に関わることもある
  • 血液検査や下肢静脈エコー、心エコーで初期評価を行い、必要に応じて病院で精査が必要