心不全とは
心不全とはどんな病気でしょうか。
日本循環器学会のガイドラインで、心不全とは「心臓が悪いために、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、生命を縮める病気」と定義されています。
つまり、心不全というのは具体的な病名ではなく、心臓の調子が悪い状態のことなのです。
そのため、心臓が悪くなる原因に応じた治療が必要ですし、現在の状態が悪くならないような細やかな心不全管理が必要となります。
心不全の生命予後
心臓が悪いのだから生命が縮まるという想像はできますが、「知り合いが心不全で余命宣告を受けた」など、あまり聞いたことはないと思います。
実際に心不全でどのくらいの人が亡くなってしまうのでしょうか。
厚生労働省が発表している2021年の人口動態統計によると、日本人の死因第1位はがん(26.5%)で心疾患(14.9%)はがんに次ぐ第2位です。
さらに、日本人を対象とした大規模研究で心不全の5年生存率が60%程度と報告されているものがあります。
5年生存率60%が高いのか低いのかはそれぞれの考え方にもよりますが、これはがんに当てはめると進行してしまったがんと同程度です。
また、心不全入院歴があると、さらに生命予後は不良になるとの報告もあります。
つまり、心不全と診断されたら状態が悪化しないように継続的な心不全管理(投薬治療や自己管理など)を行うことが重要なのです。
心不全の原因
心臓の調子が悪くなる原因は様々で、虚血性心疾患や高血圧、不整脈、弁膜症、心筋症などがあります。
また、複数の原因が関与している場合もあり、心電図や胸部レントゲン検査、心臓超音波検査、血液検査などで評価を行います。
心不全管理、心臓リハビリテーション
病状の把握やお薬の調節は医師が行いますが、心不全管理には本人や家族の協力が不可欠です。
心不全悪化の原因となる塩分や水分の取りすぎがないか、心臓の負担になるような過度な運動をしていないかなど、日頃の取り組みが重要となります。
また、心不全が悪化するときには、多くの場合で息切れやむくみなどの症状がでてきます。
普段から自分の状態を把握することで、悪化のサインを見逃さずに早めに受診することができ、早期治療介入により入院を回避することが期待されます。
同じ心不全という病気でも、人によって病状が違うため、注意点や指導内容も異なります。
心臓リハビリテーションは、患者さんひとりひとりに応じた運動療法、食事療法、服薬指導などを行い、心不全自己管理の獲得を目指すものです。