閉尿とは
おしっこを出したいのに出すことができない、あるいはおしっこが溜まっているにもかかわらず尿意を感じないから出すことができないことで尿を全く出せない状態のことを尿閉といいます。
おしっこを出したいのに出すことができない、つまり尿意がある場合には、下腹部の張りや痛み、強度の不安感や冷感を生じることが多く、おしっこの管(カテーテル)を通すなど緊急的な処置を要します。
尿の通り道である尿道に原因があることが一般的で、前立腺肥大症や前立腺がん、尿道狭窄症を考えます。前立腺肥大症を有する患者が多量に飲酒した場合や抗ヒスタミン薬を含む総合感冒薬(市販されているかぜ薬)を服用した場合にみられることがあります。
一方で、尿意を感じないことからおしっこを出すことができない場合には、神経因性膀胱が背景にあることが多く、溢流性尿失禁の状態を伴うこともあります。
また、過活動膀胱の治療薬や心療内科で用いられる抗精神病薬の影響で尿閉となることもあります。
患者さんは尿閉であることに気づいていないこともあり、膀胱に溜まった尿が尿管を通り腎臓まで逆流してしまうことで腎機能の低下を来してしまっていることもあります。
時間をかけて尿意を失い、尿を出せなくなっていることが多いため、すぐに良好な排尿状態に戻すことが難しいことが多く、間欠自己導尿(ご自身やご家族の方が、必要時におしっこの出口からカテーテルを挿入して膀胱内の尿を排出し、出しきったら管を抜くという排尿管理方法)が行われることもあります。