血尿の原因とは
腎臓でつくられた尿は、腎盂に集まり、尿管を通って膀胱に流れ込みます。
膀胱に溜まった尿は、尿道を通って体外に排出されます。
この尿の通り道やその周辺からの出血が尿に混じった状態が血尿です。
血尿が発見される頻度は加齢に伴い増えていき、男性よりも女性に多く見られます。
血尿を日常的に経験されている方はほとんどおらず、血尿を認めた場合は尿を作る腎臓や尿の通り道の重要な病気の危険信号です。
血尿には、尿の色の変化を目で確認できる血尿(肉眼的血尿)と、目には見えない血尿(顕微鏡的血尿)の2種類があります。
健診や人間ドックの尿検査で、「おしっこに血が混じってます」、「尿潜血陽性です」などと言われることがありますが、この見た目では尿の色の変化はわからず尿検査をして初めてわかる血尿のことを顕微鏡的血尿といいます。
顕微鏡的血尿は異常がないことが多いですが、ときにがんなどの重要な病気の前兆であることもありますので、指摘を受けた際には都度追加の精密検査をすることが推奨されます。
一方、目で見て明らかにわかる血尿のことを肉眼的血尿といい、患者さんはトマトジュースや赤ワインのようなおしっこが出たと言われます。
ときに黒い塊のようなものも一緒に出ることがあります。
これは、おしっこの通り道の出血がかさぶたとなって剥がれ落ちて尿に混じって出たものになります。
血尿は病気のサイン?
肉眼的血尿は、重要な病気が隠れているサインの可能性があり、実際に膀胱がんの85%はこの肉眼的血尿をきっかけに発見されます。
顕微鏡的血尿の場合は、腎臓で血液から尿をろ過する糸球体という場所になんからの原因があることがあります。
この場合、尿に蛋白も混じっているかが重要なサインになります。
肉眼的血尿の場合は、排尿時痛や頻尿、腰や背中の痛みといった血尿以外の症状もあれば尿路結石や膀胱炎などの尿路感染症を考えます。
しかし、血尿以外の症状がない場合には、膀胱がんや腎盂がん、尿管がんといった尿路上皮がんや腎臓がん、前立腺がんといった悪性腫瘍を考え、早期発見に努めます。そのほか、腎臓の血管の生まれながらの奇形でも肉眼的血尿をきたすことがあります。
血尿になったらどんな検査をするの?
血尿を認めた場合、問診では血尿を自覚し始めた時期やその他の気になる症状についておたずねします。
次いで、尿検査のほかに超音波検査を行い、考えられる疾患に応じて、レントゲン検査や採血、膀胱にカメラを入れる膀胱鏡検査を行います。
さらに必要に応じてCTやMRIなどの検査を行っていきます。
おしっこが赤かったら早めに受診を!
血尿を生じる疾患には、すぐに自然治癒するものから、がんなどの重要なものまで様々です。
痛みなどがないままに真っ赤に見える血尿でも数日で元通りになることもあり、症状の強さだけでは判断はできません。血尿を一度でも自覚したことがある場合は、お早めに当クリニックへ相談ください。