尿道炎の原因
膀胱に溜まった尿は、尿道を通って体外へ排出されます。
細菌などの病原体が尿道に侵入し感染することで尿道炎を発症します。尿道の長さは男女で異なり、女性は構造的に尿道が短いことから膀胱炎になりやすい一方で、男性は尿道が長いことから外部から侵入した細菌が膀胱まで到達しにくく、尿道炎になりやすい傾向にあります。
尿道炎の原因は、主に性行為により感染する淋菌やクラミジアトラコマチスが原因菌のことが多いですが、クラミジアや淋菌が検出されない非クラミジア性非淋菌性尿道炎の場合もあるため、尿道炎が必ずしも性感染症であるとは限りません。
尿道炎の症状
尿道炎の主な症状は、排尿時の尿道のムズムズとした違和感やかゆみ、痛痒い程度の軽い痛みからおしっこするのが辛いほどの激痛、尿道から膿のような分泌物が出ることが挙げられます。
症状の出方には個人差があり、また原因の病原体によっても症状の強さなどが違ってきます。
淋菌性尿道炎は、感染してから初期症状が出るまで数日〜1週間程度と短く、排尿時の尿道痛が強く、粘り気がある濃厚な分泌物が出やすい傾向にあります。
クラミジア性尿道炎は、感染機会から発症まで1~3週間と長く、感染時期が分からないこともあります。サラサラとした薄黄色で透明な分泌物が出やすい傾向にありますが、痛みなどの症状がはっきりとせず、感染に気づかない患者さんもいます。
いずれも短期間の抗生物質の投与で治すことができますが、症状があっても我慢したり恥ずかしくて受診をためらったりして、精巣上体炎や腹膜炎にまで至ってしまった場合には、長期間の治療が必要となります。
尿道炎はうつる?
性行為が原因の尿道炎の場合、適切な治療後に再検査を行い、陰性確認を行う必要があります。
精液や膣分泌液などの体液や感染した粘膜への接触で感染するため、膣性交だけでなく、口腔性交や肛門性交でも感染します。
治療の自己中断で感染を周りに広げてしまうこと、自身やパートナーが将来不妊症になる可能性があること、パートナーと同時に治療しないと再度感染してしまうことからパートナーと一緒に治療に臨むことが重要です。
ポイント
- 尿道炎は尿道に細菌が感染することで発症し、主な原因菌は性感染症である淋菌やクラミジアです。
- 治療は抗生物質で行われますが、感染は性行為によって広がるため、パートナーと一緒に治療することが重要です。